<「BOSS THE NK+OD」②>
「わかったわかった。ごめん。驚かしたね。友達とあんまり似てたから、間違えたんだ」
「小田って誰スか~(泣)。全然知らないじゃないスか~(泣)。工場長~(泣)」
「もう小田さんのことはいい。それより泣かないで。いいかい?オレは君を苛めたり、怖い目に遭わせに来たんじゃない。わかるか?ほら、こっちを見て。僕の目を見て」
「、、、、、、、、、、」
「歌が好きでしょ?」
「、、、、、、、、、、」
「そうでしょ?、、、さっき、、、、君が歌ってるのを聞いたんだ。歌が好きでしょ?」
「、、、、好きとか嫌いとかわかんないじゃないスか、、、、、パンは好きじゃないすか!!マジ卍パリピ好き好きデス!!!パンさえあれば何も要らないじゃないスかー!!!(笑)」
「ここで毎日歌ってるの?(笑)パンが貰えるから?」
「歌うと、皆さんが褒めてくれるじゃないスか(笑)」
「そうか(笑)。歌が上手いよね(笑)、だから褒めてもらえるんだ。皆さんに。そうでしょ?」
「上手いとかわかんないじゃないスか、、、、歌、、、、は、、、、みんな上手いじゃないスか(笑)!レコードやラジオからいっぱい聞こえてくるじゃないスか~(笑)。あとインターネットも、いーっぱい歌が入ってるデス!自分もそれと同じことをやってるデス。カラオケも好きデスが、ここで歌うのが1番好きじゃないスか~(笑)」
「そうか(笑)。いつから、、、ここで歌ってるの?」
「いつから?、、、、、、いつから?、、、、わかんないじゃ、、、ないスか、、、、」
誘拐された可能性も、失踪者である可能性もある。年齢が読めないが、おそらく10代か20代だ。記憶喪失だとしても、生涯喪失か、一時的喪失かまだわからない。この服が失踪時のものか、ここの誰かに買い与えられたものかもわからない。ただ、両親はここにはいない。逃げるときに、親の名を呼ばなかった。
「君、家族はいるの?」
「いるじゃないスか!(笑)ここの皆さんデス!(笑)」
「そうか(笑)、、、、あのねえ、御両親はいる?この中に?」